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Profile─米田英嗣
自然科学研究機構生理学研究所PD,
ウィスコンシン大 学マディソン校
Post-Doctoral Fellow,ノースウェス
タン大学Visiting Scholar,カーネギー
メロン大学Research Psychologistを
経て現職。専門は認知心理学,自閉ス
ペクトラム症。著書は『脳の発達科
学(発達科学ハンドブック8)』(共編,
新曜社)など。
子どもと育つ米英留学
京都大学白眉センター 特定准教授
米田英嗣
(こめだ ひでつぐ)
私は,学術振興会特別研究員
PDの途中からアメリカで研究滞
在を始めました。すぐに帰国した
かったのですが,厳しい就職事情
もあり,海外学術振興会特別研究
員としてアメリカで研究を続け,
ピッツバーグにあるカーネギーメ
ロン大学心理学部のMarcel Just
先生の研究室(認知脳機能イメー
ジングセンター)で働きました。
とても厳しいラボで,Just先生は
毎日,ラボメンバーに進捗を伺い
に突然現れるので,常に緊張感が
漂っていました。Just研究室で
は,自閉スペクトラム症の高次認
知機能についての研究に加えて,
言語理解に関わる機械学習プロ
ジェクトに参画させていただき,
自分の知識を広げることができて
とても勉強になりました。
研究には非常に厳しいJust先生
でしたが,生活についてはいつも
気にかけてくださり,息子の誕生
の前に,Just先生の長男が使って
いたというベビーベッドを貸して
くださることになりました。息子
の誕生から1歳の間まで,そのベッ
ドを 使 わ せ ていただきました。
Just先生は子どもを見るととても
優しいお顔になり,抱っこをする
のも私よりも上手なくらいでした。
研究ではストイックで,家庭では
優しい姿に感銘を受けました。
2015年 か ら2016年 秋 ま で 渡
英し,ロンドン大学ゴールドスミ
ス校で研究滞在をする機会に恵
まれました。ロンドン大学では,
Elisabeth Hill先生の研究室で,発
達性協調運動障害を持つ成人の
時間知覚と共感性の関係について
研究をしてきました。とても雰囲
気の良いラボで,学校現場に近い
フィールドで研究をしている人や,
本格的な神経科学の研究者たち
が,おだやかにディスカッションを
する,居心地の良い研究室でした。
息子は3歳から4歳になるとこ
ろで,現地の保育園に入りまし
た。その保育園はインターナショ
ナルなところで,イギリス人の他
に,イタリア,フランス,オースト
ラリア,インド,中国と様々な国
から来られた先生と園児がいて,
素晴らしい雰囲気でした。親同士
の交流もあり,お友達の家に招待
されたり,自分のアパートにお友
達を呼んだりと,文化の理解と言
語の勉強という意味で,親のほう
が成長できました。日本文化に
ついてよくきかれましたが,わか
らないことが多く,日本について
もっと知らなくてはと強く思いま
した。その後,息子は地域の公立
小学校に入りました。イギリスで
は日本の保育園年中組の9月から
Receptionという小学校0年生が
始まります。
このように,アメリカとイギリ
スで滞在することができました
が,印象として,アメリカのほう
が自由で,他の人の目が気になら
ないと思いました。アメリカに
いるときは自己主張を強くしなく
てはならない場面が多く,日本人
パーソナリティを多少なりとも変
える必要がありました。一方で,
イギリスでは,日本人のパーソナ
リティを変えることなく生活する
ことができると思いました。病院
に関して,アメリカの医療は,待
ち時間の少なさ,専門性の高さ,
医療スタッフのフレンドリーさ
という点で素晴らしいと思いま
した。ただ,保険費用がとても高
かったです。イギリスの医療は無
料ですが,そのぶん長く待たされ
たり,専門性の面で疑問があるこ
とも多かったです。
アメリカとイギリスは,文化の
面で対極にあり,日本はその中間
(ややイギリス寄り)にあるよう
な印象を受けました。留学の機会
を与えてくださった皆様,現地で
お世話になったすべての方々に厚
くお礼を申し上げます。
ピッツバーグ動物園にて,0 歳の
息子と。